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左近 敦士*; 中嶋 國弘*; 高橋 和暉*; 芳原 新也*; 佐野 忠史*; 深谷 裕司; 橋本 憲吾*
EPJ Web of Conferences, 247, p.09009_1 - 09009_8, 2021/02
黒鉛反射熱中性子炉では、燃料領域から遠くに配置された検出器であっても、ある程度の相関振幅を検出する可能性がある。これは、黒鉛中の中性子の平均自由行程が水やポリエチレンよりも長いためである。そこで、本研究の目的は、原子炉騒音分析のためのグラファイト反射器への中性子検出器配置の高い柔軟性を実験的に確認することである。京都大学臨界集会(KUCA)の黒鉛減速反射炉心において炉雑音解析を実施した。BF比例中性子計数管(直径1インチ)を黒鉛反射領域に配置し、検出器を炉心からそれぞれ約35cmと30cmの厚さの黒鉛で隔離した。臨界状態と未臨界状態で、検出器からの時系列信号データを取得し、高速フーリエ変換(FFT)アナライザーにより分析し、周波数領域でのパワースペクトル密度を取得した。炉心から遠く離れた検出器から得られたパワースペクトル密度には、有意な相関成分を含むことが確認できた。また、パワースペクトル密度理論式にデータに最小二乗法で適合さることにより、即発中性子減衰定数を決定した。臨界状態での減衰定数は63.314.5[1/s]となった。2つの検出器間の相互パワースペクトル密度とコヒーレンス関数データから決定された減衰定数とよい一致を示した。予想通り、炉心から約35cmの位置に検出器を設置することで、原子炉のノイズ解析が可能であることが確認された。
深谷 裕司; 中川 繁昭; 後藤 実; 石塚 悦男; 川上 悟; 上坂 貴洋; 守田 圭介; 佐野 忠史*
KURNS Progress Report 2018, P. 148, 2019/08
日本原子力研究開発機構は高温ガス炉の核設計予測手法の高度化を目的とした研究開発を始めた。商用高温ガス炉初号基のためのフルスケールモックアップ試験を回避できる可能性がある一般化バイアス因子法の導入と高温ガス炉体系への炉雑音解析の導入を目的とする。そのために、B7/4"G2/8"p8EUNU+3/8"p38EU(1)と名付けた黒鉛減速体系炉心を京都大学臨界実験装置KUCAのB架台に新たに構築した。この炉心は一般化バイアス因子法を用いるための参照炉心としての役割を果たし、この炉心では、炉雑音解析手法開発に必要な炉雑音の測定も行っている。それに加え、HTTR運転員の保安教育も行った。
山本 俊弘
ノイズ ザ リバイバル, p.165 - 171, 2001/11
モンテカルロ法で炉雑音実験をシミュレーションする方法の歴史的経緯、基本概念について説明した。モンテカルロコードで炉雑音実験を解析する方法として、粒子輸送方法、核分裂中性子発生方法、信号解析手法などについて説明した。MCNPを改良したMCNP-DSPでTCAでの炉雑音周波数解析実験のシミュレーションを行った。またパルス中性子実験のシミュレーションも行い、即発中性子減衰定数を求めた。炉雑音法、パルス法のシミュレーションによって測定値と整合性のとれたの値を得ることができ、シミュレーション法の妥当性を確認できた。
大谷 暢夫
PNC TN9410 97-011, 45 Pages, 1997/01
核燃料施設の臨界安全管理の信頼生の向上と臨界安全設計の合理化を目的として,核燃料を含む体系の実効増倍率(未臨界度)を直接モニターする未臨界度モニターの開発研究を進めている。未臨界度モニターに適用する測定・解析手法としてウェーブレット解析を検討した。本研究では,未臨界度を検出する為の測定データである中性子雑音データを,ウェーブレット解析を適用して処理する事によって,体系が臨界に近接していることを検知する手法を開発した。ウェーブレット解析は信号の時間変化を評価する解析手法であり,短時間の間の信号の処理を集積することによって情報を得る。その結果,これまで未臨界度モニター手法として適用されてきた炉雑音解析手法であるファインマン-アルファ法やミハルゾ法と比較して,体系が定常であることが要求される時間間隔が短く,応答の速い未臨界度モニター手法として適用が期待できる。ウェーブレット解析では,適用するウェーブレット関数に多様な選択が可能であるが,ここではファインマン-アルファ法等の測定に採用してきたマルチチャンネルスケーラー(MCS)による測定データを処理することを想定して,カーディナルスプライン関数を用いる離散変換を選択した。又,臨界への近接を数値的に表現する為に,模擬的に作成された非増倍系の計数との比較によって評価を行う手法を考案した。2階及び4階のカーディナルスプライン関数によるウェーブレット解析の計算式の導出と計算プログラムの作成を行い,重水臨界実験装置(DCA)における測定データを処理して,体系が臨界に近接したことを検知できることを確認した。
林 光二; 島崎 潤也; 鍋島 邦彦; 篠原 慶邦; 井上 公夫*; 落合 政昭
JAERI-Research 95-015, 172 Pages, 1995/03
原子力船「むつ」の原子炉プラント動特性を評価する目的で、疑似不規則2値信号(PRBS)を用いた3回目の炉雑音実験を第3次実験航海中の1991年9月16日に実施した。第3回実験は、前2回の実験と異なる海象・炉出力条件下のデータ測定を目的に、炉出力70%、通常海域の条件下で制御棒または主蒸気弁の手動操作によりPRBSを印加する反応度外乱実験ならびに負荷外乱実験を実施し、プラント反応信号や船体加速度信号を測定した。本報告は、実験計画、実験の実施要領書と実験の記録、データ収録条件、収録したデータの信号波形ならびにパワースペクトル解析の結果をまとめたものである。
林 光二
統計数理研究所共同研究リポート68, 0, p.31 - 41, 1995/03
原子力船「むつ」で行った不規則外乱による動特性同定実験の解析に関するものである。反応度外乱、負荷外乱時及び自然状態の炉雑音データに対して自己回帰モデルを用いた解析を行った。静穏海域での実験データから、海洋波のプラント動特性に及ぼす影響としては、波周期20秒及び6秒の支配的な成分が船体振動、原子炉プラント構造物の振動をへて、各蒸気発生器の圧力、水位等に現われることがわかった。さらに、2基の蒸気発生器と1基の加圧器間で強いフィードバック経路が存在し、波の影響は各圧力信号や水位信号の特定の周波数上にピークを作っていることも明らかになった。しかし、これらのピーク成分は中性子動特性上重要な周波数帯域より上側にあるため、炉出力変動そのものにはほとんど影響を与えてないことがわかった。
林 光二; 島崎 潤也; 鍋島 邦彦; 篠原 慶邦; 井上 公夫*; 落合 政昭
JAERI-Research 95-004, 178 Pages, 1995/01
原子力船「むつ」の原子炉プラント動特性を評価する目的で、第3次実験航海中の1991年8月30日に、類似不規則2値信号を用いた第2回炉雑音実験を実施した。第2回実験は炉出力50%、静穏海域のプラント運転条件下で、制御棒または主蒸気弁の手動操作により類似不規則2値信号を印加する反応度外乱実験ならびに負荷外乱実験を実施し、プラント応答信号や船体加速度信号を測定した。さらに、各疑似不規則外乱の効果を評価するために、各実験後に、自然状態下でのプラント雑音信号を測定した。本報告は、実験の計画、実施要領書と実験の記録、データ収録条件、収録したデータの信号波形ならびにパワースペクトル解析の結果をまとめたものである。
鈴土 知明
JAERI-Research 94-003, 91 Pages, 1994/07
沸騰水型原子炉(BWR)の安定性との関連において原子炉出力振動を非線形動力学理論に基づき議論した。まず、実炉から得られた炉雑音データを元来カオス現象を解析するための手法を用いて解析した。その結果、この手法は従来方法に比べて優れた振動現象の動特性指標を与え、新しい実時間炉心監視システムに応用できることがわかった。また、モデルを用いた解析では、非線形動力学理論の中の特に分岐理論を用いたBWRの低次元の現象論的動特性モデルを解析的に取り扱った。これにより、数値解析からは得られないBWRの定常状態の線形安定条件や振動運動の安定性に関連している弱安定条件の陽表現が導出され、出力振動の定性的理解が深まった。
林 光二; 島崎 潤也; 鍋島 邦彦; 篠原 慶邦; 井上 公夫*; 落合 政昭
JAERI-M 93-194, 163 Pages, 1993/10
原子力船「むつ」の原子炉プラント動特性を評価する目的で、疑似不規則2値信号(PRBS)を用いた炉雑音実験を計画し、実験法や実験条件の調査確認を目的とする第1回実験を第1次実験航海中の1991年3月4日に実施した。炉出力70%、静穏海域下で、制御棒または主蒸気弁の手動操作によりPRBSを印加する反応度外乱実験ならびに負荷外乱実験を行い、プラント応答信号や船体加速度信号を測定した。この結果、(1)事前に検討した実験方法と条件が妥当であること,(2)PRBS外乱を印加してもプラント状態は安定であること,(3)測定データの質も解析に十分である、などが確認できた。本報告は実験の計画、準備、実験の記録、データ収録条件ならびに信号波形とパワー・スペクトル解析の結果をまとめたものである。
鈴土 知明
JAERI-M 93-137, 13 Pages, 1993/07
改良前のNSRRで起きた出力振動を解析した。解析手法としては従来型の線形動力学に基づいた手法を用いず、物理現象に合致した非線形動力学的な手法を用いた。これにより、NSRRの出力振動の性質が明らかになり、非線形動力学的な炉雑音解析手法の有効性が示された。
林 光二
JAERI-M 93-041, 152 Pages, 1993/03
原子炉システムの非線形機構の解明と異常診断を目的とした非線形炉雑音解析手法の研究を行った。従来の非線形同定手法GMDH(組み合せデータ処理法)に新たに考案した近似応答関数を付加し、非線形スペクトル解析や非線形機構の解析に役立つ手法を確立した。また、原研の研究炉NSRRで観測された炉出力振動の測定実験と解析を行い、不安定性の原因を明らかにした。更に、非定常炉雑音の解析手法とデータ収録法に関する研究を行った。瞬時の自己回帰スペクトルの時間軸分解能を向上させ、原子炉運転状態の追跡や異常診断に役立つ手法を確立した。また非定常炉雑音データ収録用前処理システムを開発し、測定試験を通じて実用性を実証した。
鈴土 知明
Nuclear Science and Engineering, 113, p.145 - 160, 1993/02
被引用回数:12 パーセンタイル:74.46(Nuclear Science & Technology)カオスの特徴量の1つであり、アトラクターのフラクタル次元に等しい情報次元は非線形システムの時間発展の漸近的ふるまいを決定する。この量の炉雑音解析への応用を提案し、特に、出力振動への応用の可能性をしらべた。出力振動がリミット・サイクルを形成している場合には、情報次元は独立な振動モードの数に等しい。よってそれは直観的にわかりやすい量である。解析用のデータとしては、BWRの振動モデルから得られたシミュレーション・データとNSRRから得られた実データを用いた。結果として、いずれの場合もこの方法の有効性が示され、線形的な方法を用いた場合よりもより詳細に解析できることがわかった。
林 光二
日本原子力学会誌, 34(10), p.971 - 983, 1992/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)本報告は、非定常炉雑音信号の収録用に開発したオンライン・データ収録システムに使用した前処理技術に関するものである。炉雑音信号の収録には、(i)ゆらぎ成分とDC成分の分離、(ii)最適なゲインによるゆらぎ成分の増幅、といった前処理が必要である。ところが、アナログ素子を用いた従来の前処理器は、非定常信号にうまく対応できなかった。このため、筆者は、DC成分の分離にディジタル信号処理を応用し、信号の性質に応じてフィルタの種類や特性を切り替えることのできる新しい分離装置を開発した。さらに、ゆらぎの増幅に必要な最適ゲインを自動的に探索する機能を持つフィルタ・アンプを開発した。模擬信号や実際の炉雑音信号のデータ収録を通じて、これらの装置の試験を行い、DC成分がゆっくりと変動する場合はもちろんの事、大きな変動幅で急峻に変動する場合でも、実用的に収録できることが分った。
島田 裕一*; 鈴木 惣十; 舟田 敏雄; 金城 勝哉; 深見 明弘*; 大山 幸男*; 井川 健一*
PNC TN9410 91-175, 52 Pages, 1991/05
原子炉の炉内異常診断のため早期に炉心の異常を検知する手法の一つとして,音響法がある。本研究では,音響法のNa冷却型高速炉の炉内異常診断技術への適用性に関する基礎データを得るため,高速実験炉「常陽」を用いて炉内音響レベルの測定等の音響検出予備試験を実施した。本報告に係る一連の試験は,第8回定期検査期間中の平成2年6月13日,14日に実施され,下記の結果が得られた。(1) 電気ヒータ表面に取り付けた熱電対信号のゆらぎにより,ヒータ加熱によるNaボイドの発生が確認できた。(2) 電気ヒータ加熱による炉内のボイドの発生・消滅は,格納容器内の電源,炉内Na流動,1次冷却材ポンプ等に起因するバックグランドノイズが予想以上に高く,本研究で開発した音響検出システムでは,確認できなかった。(3) 音響信号及びNaボイド発生時の表面温度ゆらぎに,1次主循環流量への明らかな依存性は見られなかった。本研究の結果,音響法を用いたNaボイド検出による炉内異常検知の成否は,炉内の音響ノイズのレベルによって決まり,この低減が今後の重要課題であることが明らかとなった。
田中 義美*; 京谷 正彦; 徳永 貴元*; 森 拓也*
JAERI-M 91-021, 61 Pages, 1991/03
本報告の目的は、船体運動が「むつ」の原子炉出力に与える影響を解明することである。出力上昇試験の航海中に、原子炉の制御系信号及び船体運動計測装置による信号の測定を行った。このデータを用いて、ピッチング角度、ローリング角度、蒸気流量、中性子束及び一次冷却水温度の各信号間の間連を多変数自己回帰モデルによって解析した。その結果、原子炉の動特性に関しては、ピッチング及びローリングから一次冷却水温度及び中性子束への影響はないという結論を得た。負荷と原子炉出力が顕著な相関を示す周波数はピッチング、ローリングの周波数よりも低域に分離している。ピッチング、ローリングは船の大きさ、重量、重心位置に依存し、一方負荷追従特性は負荷と一次系及び二次系の熱容量に依存する。この理由で、「むつ」の原子炉と船体の設計は良く調和しているものと判断される。
林 光二; 篠原 慶邦; 鈴木 勝男; 鍋島 邦彦
JAERI-M 89-175, 90 Pages, 1989/10
非線形炉雑音信号のモデリングを目的としたGMDHに基づく階層型モデルに関する研究を行っている。本報告はその第1報であり、GMDHの原理と概要、階層モデルのフィッテング・アルゴリズムならびに線形階層モデルの理論、数値処理的考察に関するものである。フィッテング・アルゴリズムは1入力1出力型モデルについて詳細に示し、さらに1変数型、多変数フィールドバック型への拡張についても述べた。統計的信号処理の理論の立場から、基礎関数の係数を与える正規方程式を考察し、また線形階層モデルとARモデルの比較を通じて、階層モデルと物理モデルとの対応関係を考察した。最後に幾つかの線形シミュレーション・データを用いてフィッテング試験を行い、その有用性を確かめた。
弘田 実弥*
JAERI 1292, 46 Pages, 1984/09
本報告は1962年から1982年3月までのわが国における炉物理研究の進歩を、原子力機関炉物理委員会(NEA-CRP)に関連した活動を通じて統括したものである。高速炉物理、熱中性子炉物理、核融合炉ニュートロニックス、および遮蔽研究のこれら20年における進歩は、炉物理研究(特別専門)委員会によって作成されてきたレビューで明暸に認めることができる。NEACRP会合のトピックスは高速炉物理に関するものが多く、これらの情報交換はわが国における研究に大きな刺戟を与えた。NEACRPによって勧告された専門家会合の中では、原子炉遮蔽のための核データとベンチマークに関する会合が、わが国における研究の進歩に役立った。第3回炉雑音専門家会合が東京で成功裡に開催された。さらに、NEACRPベンチマークテストがわが国における炉物理研究の進歩に極めて有用であった。
林 光二; 尾熊 律雄; 島崎 潤也; 渡辺 光一; 篠原 慶邦; 鈴川 芳弘; 大友 正一; 宇野 久男; 谷内 茂康; 堀木 欧一郎
JAERI-M 84-137, 49 Pages, 1984/08
本報告はNSRRにみられる炉出力変動現象の原因を探るために行われた原子炉異常診断実験(Phase-II)に関するものである。Phase-IIの実験は自動制御系の動特性評価およびディフューザー・システムの運転に起因する外乱の究明を目的として行われた。この結果、スレーブ・サーボ系の周波数応答関数が約0.3Hzで比較的顕著なピークを持つため、自動制御系に何らかの外乱が印加されると制御棒駆動機構の不感帯の効果が加わって炉出力に減衰振動や発振が起ることがわかった。またディフューザー・ポンプを運転すると炉心周りの冷却材温度ゆらぎが著しく増大し、炉出力変動も大きくなることがわかった。
尾熊 律雄
JAERI-M 84-084, 24 Pages, 1984/04
多変数雑音解析を通じてそのシステムの雑音発生と伝ぱんの機構を明らかにする一手法として「信号伝達経路解析」を提案した。本論文ではノイズ寄与率、パーシャルコヒーレンス及びここで新たに導入されたパーシャルノイズ寄与率の3つの関数の相互比較を通じて雑音源の固定と発生した雑音の伝ぱ経路の評価が可能となることを示した。シュミレーションデータ及びBorssele(PWR)炉の炉雑音データの解析に本手法を応用し、その有効性を示した。
林 光二; 島崎 潤也; 渡辺 光一; 篠原 慶邦; 鈴川 芳弘; 大友 正一; 宇野 久男; 谷内 茂康*; 堀木 欧一郎
JAERI-M 84-056, 62 Pages, 1984/03
本報告はNSRRにみられる炉出力変動現象の原因を探るために行われた原子炉異常診断実験(Phase-I)に関するものである。Phase-Iの実験は原子炉雑音解析の立場からみたNSRRの現状を把握する事を目的として行われた。波形観察やスペクトル解析から、顕著な炉出力変動成分は3つのパターンに分類されること、これらの変動は自動制御系の不安定性に関連して起る事が明らかになった。